唯一好調だった東芝半導体メモリー
ここのところ、日本の半導体メーカーにかつてのような勢いはありません。日本を代表する半導体メーカーと言えば、NECや富士通などのパソコンメーカーや日立、三菱も半導体売り上げ、世界トップテン入りするほどの力がありました。
この頃はパソコン全盛期でもあり、パソコンの普及も相重なって、半導体の需要がありました。またマイクロソフトやインテル、IBMなどが頭角を現すようになった時代でもありました。
しかし、これらの日本企業は今現在は目立った動きもなく、以前からすれば、半導体売り上げもかなり落ちてしましました。そんな中、最近では日本企業では唯一に東芝が世界半導体売上高ランキングでトップテン入り(2015年は8位)していただけあって、今回の東芝の半導体メモリー分社化は日本半導体の稼ぎ頭の危機でもあります。
パソコンからスマートフォンへ
近年の半導体の売上高ランキングの動向をみると、インテルは相変わらずトップではあるものの、サムスンやQUALCOMM(クアルコム)がランキング上位に突如として上がってきました。サムスンがスマートフォンでシャアを占めるようになったことやQUALCOMMのモバイル端末向けチップを製造メーカーとしての需要拡大によるものだと考えられます。
市場がパソコンからスマートフォンに需要がシフトした事で、半導体の売り上げとシャアが大きく変わってしまったと言えます。日本の半導体メーカーはパソコンメーカーが多いように、一時スマートフォンで独自の製品としてシャア拡大を図ったものの、それも伸び悩み、半導体の売り上げもし次第に減ってきたのでしょう。
つまり、半導体売上はパソコンやスマートフォン、タブレットなどのハード需要に依存していまう事がはっきりと分かる結果となりました。
メモリー市場の変化
東芝の場合、スマートフォンやタブレットで目立った製品もなく、半導体の売れ上げがあったのは、メモリー市場が変わったためだと考えらます。東芝と言えば、HDD(ハードディスクドライブ)ですが、パソコンに搭載されるメモリー容量が大きく上がった事や、テレビの録画や外付けハードディスクのようにメモリー市場も変わり、ハードディスク需要が多くなりました。
その反面でDVDやBDのようなディスク型メモリーは思うように売り上げられていません。日立マクセルのようなディスク製造メーカーはメモリー市場では苦戦を強いられていることでしょう。
また、東芝はHDDからSSDとなる市場動向を読み、SSDやUSBメモリー、SDカードの元であるNAND型フラッシュメモリの半導体メモリー開発にも意欲的です。最近では世界最大級製造工場建設を予定していて、その矢先での分社化となれば、東芝のメモリー事業買収に興味がある企業も少なくはないはずです。
シャープと同じ道を辿るか
問題なのは、東芝メモリー事業が海外企業に買収されると、日本の技術が流失しまう恐れがあることです。シャープ買収の時、政府系ファンドの産業革新機構による出資と鴻海買収となるか揉めましたが、今回も同じように産業革新機構が手を差し伸べているようです。
一番は日本大手企業に吸収されれば良いのですが、東芝が日本半導体メーカー最大手となっている現状でそれをけん引していけるほどの力を持った企業がないとなれば、買収したところでこの先どのように売り上げ、経営していけるかが不安なところでしょう。
日本はトヨタなど自動車産業はまずまず好調ですが、そのトヨタが買収しても畑が違います。しかし、電気自動車や自動運転技術の需要が高まる今、電子機器メーカーとの棲み分けを明確にする意味も薄れ始めているならば、何らかの好機と捉えることは出来ないでしょうか。いずれにせよ、日本衰退への道は避けたいですし、どうにか再建できるよう願いたいものです。
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