KDDIの「H.266/VVC」4Kリアルタイムエンコードとは⁉
なんと、KDDI が世界初の「H.266/VVC」4Kリアルタイムエンコーダの開発に成功しました。
「H.266/VVC」というのは、映像データを圧縮符号化する、最新のビデオコーデック規格です。この圧縮技術は、近年の高画質化に伴う大容量の4K8K映像データを伝送する上で、重要な技術でもあります。トラフィック量の増大、限られた伝送速度内で、いかにビットレートを下げ、より劣化しないで映像データを送れるかが求められるからです。ITや5G時代には、不可欠な技術となっていくでしょう。
現在は「H.265/HEVC」が、BS4K8K放送に採用されて用いられています。この「H.265/HEVC」ですら、従来の2倍の圧縮比となったのでしたが、「H.266/VVC」では、さらに2倍の圧縮比を誇るのです。ただ、圧縮率が上がれば上がるほど、回路に負荷がかかり、遅延が発生してしまいます。複雑化することからも、製造にもコストがかかってしまうようでは、汎用、普及するにはなかなか難しいのです。
しかし、今回、KDDIが開発した「H.266/VVC」4Kリアルタイムエンコーダは、内部回路を並列化することにより、大幅に高速化を実現させたのです。そのため、リアルタイムに高画質な4K映像を配信が可能になるのです。
インターネット界では「AV1」が主流に⁉
現在の「H.265/HEVC」を用いての8K伝送には、約100~200Mbps程度かかることからも、地上デジタル放送もおろか、インターネット配信ですら、映像の品質が確実に保証されるわけではありません。ダウンロードは遅く、ストリーミング配信、ライブ配信の現実は程遠いのが現実なのです。
とはいえ、最新のこの「H.266/VVC」4Kリアルタイムエンコーダであれば、高画質な4K伝送に一歩、近づいたことになり、飛躍的にインターネット配信サービスのVODやYouTubeの画質向上などのにつながるはずなのです。
ただ、インターネットの業界では、また違ったビデオコーデック用いられることが一般的になりつつあり、それが「AV1」というものです。
「AV1」も、従来の「H.266/VVC」「H.265/HEVC」(訂正)のから30~43%の圧縮削減する仕様になっており、「H.266/VVC」に十分、対抗できるものです。しかも「H.265/HEVC」には高額なロイヤリティが発生してしまいます。その後、ロイヤリティの変更されたかは定かではありませんが、ロイヤリティフリーの「AV1」が普及していくのは、ある側面では、確実なのかもしれません。
地上波4K放送に近づいた!
しかし、BS4K8K放送業界では「H.265/HEVC」を採用している経緯もあり、その後継である「H.266/VVC」を次世代の規格として、用いていくことに前向きなようです。そうなれば、BS4K8K放送に限らず、地上波放送でも4K放送が実現する日も近いかもしれません。
地上波の電波を使って、伝送する場合、減衰や劣化が起こってしまい、高ビットレートの伝送には無理がありました。そのため、地上波4K放送はインターネットを利用した配信が考えられてきましたが、「H.266/VVC」で圧縮し、ビットレートを抑えれば、地上波でも伝送可能になるかもしれません。
しかも、4Kリアルタイムエンコーダ開発されたことで、ニュース番組、生放送など、4K放送にネックとなっていた遅延の問題も解決されていくことになるので、このKDDIの業績は大きいわけです。
IT業界の躍進や新型コロナウィルスによるリモートが求められる中、トラフィック量の増大も懸念されます。それ故に、今回のような「H.266/VVC」4Kリアルタイムエンコーダは必要不可欠な存在になるでしょう。
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