AV1が優秀すぎる!
AOMedia Video Codec「AV1」は最新の動画コーデックです。動画情報を圧縮し伝送効率を上げるために使用されます。
4K8Kと情報量が大きくなる今、ダウンロード、ストリーミング再生には欠かせない技術となります。
光ファイバや5Gで通信速度や容量は上がってきていますが、トラヒック量(データ転送量)も増えるため、圧縮技術も必要となるわけです。
車で荷物を運ぶ時、なるべく少なくして移動する事と同じで、段ボールに整理して詰め込んだ方がかさ張ることもなく、小型車で燃費もかからず運べます。
これが通信分野においても大事で、元のデータを圧縮(エンコード)し、少ない情報量の方が電力もかからずエコでもあります。
ただ、完全に元通りに復元する(デコード)のも難しい事で、本来のデータより劣化するのも否めません。単純に圧縮率が高ければ、良いものとは限らないのです。
4K8K化で従来のH.264より2倍の圧縮効率のH.265/HEVC動画コーデックが採用されつつありますが「AV1」の素晴らしいところは、そのH.265/HEVCよりも30~43%も圧縮率を下げられる事にあります。
しかもAV1はロイヤリティフリーであるという最高の利点があります。
H.265/HEVCがライセンス料が廃止になったものの、一部で使用料を支払わなればなりません。
AV1を開発するAOMediaにはAmazon、Google、Intel、Netflix、MicrosoftらにAppleも加わり、次期動画コーデックで覇権争いには盤石な基礎を築いき上げています。
8KテレビはH.265/HEVC
8Kアソシエーションは8Kテレビの性能基準として対応コーデックとしてHEVCとしています。
BS4K8K放送もH.265/HEVCを採用していますので、8KテレビにはH.265/HEVCデコーダーが必須となります。H.265/HEVCのハードウェアデコーダー搭載で変更が効かないため、さらにAV1のハードウェアデコーダーも搭載しなければ対応しきれません。
既に発売された4KテレビはH.265/HEVCは対応していますが、今後のAV1にも対応するには、新たに対応した4Kテレビも購入しなければならないでしょう。
インターネット上ではビットレートの少ないAV1が確実に普及すると考えられます。Google、NetflixがAV1を推進するように、VODサービスもAV1になり、対応したものに買い替える必要性も出てくるのではないでしょうか。
AV1にはただ一つ弱点があり、高圧縮なだけ処理時間が長く、H.265より符号化処理(エンコード)で約6.7倍、復号処理(デコード)で約2.5倍の時間がかかるようです。
ストリーミング再生ではそれほど問題にはなりませんが、今後、クラウドゲームサービスなどに利用する場合、遅延の問題が発生してしまう事が考えられます。
複雑化するだけデコーダーチップの開発にもコストがかかりそうです。
非圧縮に越したことはない!
本来、圧縮せずに元のデータ通りに遅れれば、それ以上のものはありません。
そうなるには光ファイバ通信容量を桁違いに上げられるようになれば可能です。デコーダーチップも必要なくなり、負荷も減り、遅延もなくなる、まさに理想的なのですが、5Gで通信速度が上がったところで、まだまだでしょう。
非圧縮映像の8K/60pが72Gbps、8K/120pが144Gbps伝送で、H.265/HEVC圧縮で100~200Mbpsかかるとされています。AV1圧縮なら65~130Mbpsくらいだと推測できます。
いかに圧縮が必要かお分かりいただけると思います。
今より1000倍の通信速度環境になれば可能ですが、技術がそこまで到達するには、年月がかかり過ぎます。
「AV1」のような圧縮コーデックの必要性をお分かりいただけましたでしょうか。
お読みいただきありがとうございました。
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