初の国産量子コンピュータの原型が完成!
先日、国立情報学研究所やNTTなどのチームによる量子コンピュータが発表されました。これはすごすぎる!衝撃的、歴史的快挙を成し遂げたとも言えます。というのは、この「量子コンピュータ」というのは、現在のスーパーコンピューターをもはるかに上回る性能と可能性を秘めているからです。今まで理論上の話はされてきましたが、それを実物とするにはかなり難しいものがあり、どこか夢物語ような域を脱してはいませんでした。しかし、それを覆す日本独自の新たな画期的な手法で、今回量子コンピュータが実現したのです。ここのころの日本の低迷からすると、日本の技術力も捨てたもんではないことが世界に証明されました。
量子コンピュータとは?
スーパーコンピュータ始め、現在のコンピュータはビットと呼ばれる「0」と「1」の2進法で構成され、いわゆるデジタル信号によって複雑な計算がされています。そのため、例えば、0~100のパターンを計算する場合、いちいち0から100通りの順番に入力、出力しなければならないため、結構な時間が掛かります。しかし、量子コンピュータの場合、その量子を用い、ビットの「0」と「1」どちらの状態でも存在出来ることを利用します。そのため、0から100のパターンがあれば、同時に計算できるようなことになります。単に電気信号のパルス信号(デジタル信号、ビット信号)読み取る電子工学から、「0」でもあるし「1」でもあるということが理解しにくい量子力学になったということです。
瞬時に答えを導き出せることから、現在のコンピュータよりもかなり高速に処理できることになります。このため、量子コンピュータが今のコンピュータの延長線上にあるレベルの違いのものではなく、次元の違いすらあるものなのです。新たなステージに突入し、時代の変わり目に差し掛かってきているとも言えるでしょう。最近のパソコンの性能は似たり寄ったりで、変わり映えしていませんでしたが、この量子コンピュータのおかげで新たな社会を切り開けていけるはずです。
日本の誇れるスーパーコンピューター「京」より優れていること
世界一の性能を誇った富士通の国産スーパーコンピューター「京」は10万以上通りの計算を一度に行えますが、今回の国産量子コンピュータは僅か2000通りの計算を行ったにすぎません。2000通りというとビットは「0」と「1」の二進数のため、2の2000乗の組み合わせがあります。それだけでも膨大な計算になりますが、それを10倍100倍と増やせることは容易なことでしょう。なぜなら、原理は意外と簡単なようで、光の粒、つまり量子を光ファイバーに連続的に入れることで、パケットのように情報するようです。これを「0」と「1」のどちらでもある量子状態にすることが、光ファイバ通信とは違うところではありますが、その量子状態の光の数を増やせば、いくらでもビット数の多い計算も可能となるわけです。そのため、「京」の性能をも簡単に超えられるポテンシャルの高さがあるのです。
そして、従来のCPU構成のコンピュータのようにスーパーコンピューターの性能は膨大な設備と多大な電力でもってすれば上げられ、競争が繰り広げられていました。しかし、電力などのコスト面ばかりでなく、動力と冷却との兼ね合いから性能を上げることも技術的に難しくなってはいました。そこに現れた量子コンピュータは救世主でもあります。省スペースで低電力でありながら、高性能であります。原発一個分の電力を要するスーパーコンピューターに比べ、その1パーセントの電力で賄える量子コンピュータの方がはるかに優れているのは明らかです。
汎用性のある量子コンピュータへ
2011年にカナダのベンチャー企業、D-Wave Systems社によって世界初となる量子コンピューターが実用化されましたが、その仕組みが絶対零度近くの超伝導状態で金属の中で電子によるものでした。そのため、摂氏マイナス273度ほどに冷却しないと使えないことが厄介なことでもありました。ところが今回の国産量子コンピュータは光によるものなので常温でも使用可能であるものなのです。それため実用段階へと一段とハードルが低くなり、汎用しうる量子コンピュータへと近づいているのです。
近未来はすぐそこに!
20年ほど前から量子コンピュータは話がされてきましたが、どこか遠い未来に実現できるような宙に浮いた話のように思っていました。ところが今になって急に現実味を帯びてきた事で、過去に将来を思い描いた社会が矛盾のないものになろうとしてきています。もし、この量子コンピュータが実現すれば、けん引するように人工知能や自動運転など他の技術も進展していけるでしょう。また医療や温暖化問題も解決していけるのではないでしょうか。
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