8K標準化早期実現に向けてするべきこと

8Kになるとは言うものの

 今年の12月にはいよいよBS4K8K放送が始まりますが、それに向けてシャープから8Kテレビが発売されるなど、少しずつ変化が見られます。ただ、世間一般では8Kどころか4Kがようやく認識され始めてきているところが現状ではないかと思います。その背景には、地デジ化からテレビの買い替えが一段落してきた矢先に、4K、さらには8Kテレビへの移行を進められるのは、落ち着く暇もなく、どこか不本意な感じがあるでしょう。そして、それが8K移行を抑制している原因になるようにも思えるかもしれません。しかしながら、8Kに移行するにはまだまだ技術的ハードルはあります。それをクリアしないと本格的な8Kテレビへの移行、普及はもっと先になるのが、実際のところです。

どのように8Kの膨大な情報を処理するのか

 8Kにもなると、情報量は桁違いに増えます。それをどう扱うかでしのぎを削っているのが現状です。情報処理するCPUの性能はここのところ上がらず、ムーアの法則は崩壊しつつあります。単純に集積密度を上げるだけでは性能は上がりません。プロセス移行は進んでも、スマートフォンのように小型化には貢献していくにはなりますが、情報処理量を上げることはそう簡単ではないからです。少し前まではCPUを動作させる電圧を低くしていくことで、発熱を抑え、パフォーマンスを上げたり、周波数を上げる事によって信号量を増やし、処理速度を上げてこれましたが、それが限界となってきてしまいました。それが約10年前くらいから止まっている事に気づけるように、パソコンの性能がほぼ変わっていないからです。つまり、理論的には性能が上がるとしても、発熱や信号としてパルスとして読み取れる電圧など、物理的限界があるわけです。それに伴い、情報量が増えるのに合わせて、メモリ数を増やして意味がない事になりますし、無駄に多い情報量は処理能力を下げます。
 つまり、8Kするために、これまで通りにCPUの処理速度を上げようとか、メモリ数を増やそうなどとスペックを上げようとしても上手くいくはずがありません。

4Kでいっぱいな現状

 確かに4K移行は順調なように、テレビもパソコンも上手く対応してきていると思います。しかし、これ以上の8Kともなると、そう容易いものではないように思えてなりません。それがどこにあるかと言えば、まさに今地団駄を踏んでる4K対応という事になるのかと思います。CPUやメモリの性能向上が見込めない中で、多くの負荷をかけることは、処理速度の劣化を招きます。つまり、これまで築き上げてきた技術が重荷になるのです。アップコンバートや倍速機能、補正、また、今まで圧縮技術H.264などは8Kには無用になってきます。それらが負の遺産となる可能性があるのは、それらを取り次ぐように8Kにも備えていこうしているからなのです。それが無謀でもあるし、8K対応への遅延の最大の原因になることでしょう。

後方互換をなくす!

 これは非情ではありますが、膨大や情報量を扱う8Kでは負荷のかかるものは一切排除していくことが賢明なように思えます。HDMIが当たり前になった今、コンポーネント端子を備えられてあることに意味をなさない時がやがては来る事と同じように、過去のものは切り捨てることで、8Kへ負荷を減らす事が8K標準化に加速していく唯一の方法のように思えます。であれば、今のCPU、メモリスペックでも十分に8Kを扱えるでしょうし、8Kへの近道であるように思えます。

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