8Kテレビは、画素認識レベルを超えるが
8Kテレビが今年の実用放送を前に開発が進められています。地デジ化のハイビジョンから4K、そして8Kへとテレビの解像度は「これでもかっ」というくらいに上がり続けています。それも8Kで、とりあえずは収束し、テレビの進化も落ち着くだろうとされています。それは、8Kテレビ以上の解像度を求めても肉眼では識別不可能な領域にあるからです。
しかし、それはあくまでテレビとして画面全体を視野に入れた場合の話で、実際に画面に目を近づけていけば、8Kテレビと言えども画素の区別がつきます。これは実際に私がNHKに展示されてある8Kテレビを視聴してきたことからも言えます。
一般に画素密度が判別不能とされているのは。私たちが普段、目の当たりにしている印刷物です。それが1インチ当たりの画素数dpi(ドット/インチ)という単位で表し、一般印刷物の350dpiもなると、それ以上の画素、解像度は識別困難になるとされています。
つまり、この350dpiを基準に考えた場合、一体何Kテレビまで進化すれば、印刷物と遜色なくなるテレビとなるのかが分かるはずです。
8Kで本当に収束するのか?
350dpiと言えば、HD仕様の一般的なスマートフォンディスプレーに相当しますが、それ以上のフルHD仕様のスマホも多くなりましたし、ソニーのXperiaでは4Kディスプレーを搭載した機種があります。その画素密度は約800ppi(ピクセル/インチ)(ピクセルとドットはほぼ同じ意味)にもなります。
判別困難な350dpiをも超える域に達していることに気づいているのは、果たしてどれくらいいるでしょうか。
ただ4Kという文言に釣れて、魅了されているだけなのかもしれませんが、高解像度を求める飽くなき探求心があるのも事実です。そう考えると本当に8Kレベルで高解像への追及に終止符が打てるのかが疑問になってきます。少なくとも350dpiは超えていくように思えます。
画素密度350dpiでは50インチテレビは何Kテレビになるか?
8Kテレビの解像度は画素数(7680×4320)であり、横の画素数7680が約8000=8K(キロ=1000)と重なるように、テレビの横の画素数と名称が一致します。そこで、テレビの横の画素数を求めます。
テレビのインチ数はテレビの縦、横ではなく、対角線の長さで表します。また、テレビの横と縦の比は16:9となっています。それらを元に計算式を作ります。テレビのインチ数をXをおき、横の長さを16a、縦の長さを9aとおいたとします。
ピタゴラスの定理より
X^2=(16a)^2+(9a)^2
と表せます。
これより、例えば、代表格の50インチのテレビの場合、Xを50にすると、aは2.72367…となり、50インチテレビの横の長さは16aの43.578…インチと求める事が出来ます。そこに印刷物の解像度350dpiをかければ、50インチテレビの横の解像度数が15252≒15K(小数点以下切り捨て)導き出せます。
つまり、50インチテレビの場合15Kにもならなければ、印刷物レベルを満たせないことになります。
8Kテレビは何インチ以下であれば、印刷物と変わりないか?
逆に、8Kテレビである場合、何インチ以下であれば、印刷物の画素密度350dpiになるかをも求められます。8Kテレビの画素数(7680×4320)の横の画素数7680を350dpiで割ると21.94インチとなります。これにより先ほどの計算式のaは1.371…(16a=21.94)となります。そこから、Xを求めるとX=25.176…となります。
つまり、8Kテレビでも26インチ以下、今のテレビの型式にもある小型テレビの23インチテレビ、パソコンモニターでは主流でもある23インチ相当にもならないと印刷物レベルの解像度、きめ細やかさには到達しないことになります。
16K、さらに32K解像度があってもおかしくない!
8Kテレビ規格でも印刷物の解像度350dpiに及ばないことから、さらに16K規格を求める意味合いもない事はないでしょう。また、現在、スマホに4K液晶ディスプレーが存在しているように、人間には聞き取れないハイレゾ音源もあるように、人間の感覚を超越したところに価値を見出す動きがあるだけに、800dpi液晶で32Kテレビを作り出すことがあっても不思議ではないのかもしれません。
お読みいただきありがとうございました。
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